File1「にゃんこ失踪事件」

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「いえ、そんな大層なモノじゃないんですけど……」 しかし部長の耳には届いていないようだった。 「素晴らしい!素晴らしいぞミトリ少年!!」 ダメだ、この人完全に自分の世界に入っちゃってるよ…… 仕方なく部長が現実に帰還するのを待つ。 「僕のは完全記憶能力じゃないんですよ。 しいて言うなら半完全記憶ですね」 南鳥が幼少期から備えていた唯一の特技。 それは、一度見聞きしたものを"数年"忘れないというもの。 「ふむ。 ミトリ少年は『物事を忘れにくい程度の能力』といったところか」 「そうですけどその言い方にはひっかかりを感じます」 版権的なひっかかりを。 「で、この文芸部員さんがどうしたんですか?」 携帯を返しながら聞いてみる。 「ミトリ少年が出てきたそこの草むらから出てきてな。 ミトリ少年が出てくる数分前だったか」 と、いうことはあの物音はその文芸部員が出したものだったのだろう。 そして、南鳥がコケている間に草むらから出たといったところだろう。 「そんなことがあったか」 その事を部長に話すとそう言って考え込んでしまった。
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