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「いえ、そんな大層なモノじゃないんですけど……」
しかし部長の耳には届いていないようだった。
「素晴らしい!素晴らしいぞミトリ少年!!」
ダメだ、この人完全に自分の世界に入っちゃってるよ……
仕方なく部長が現実に帰還するのを待つ。
「僕のは完全記憶能力じゃないんですよ。
しいて言うなら半完全記憶ですね」
南鳥が幼少期から備えていた唯一の特技。
それは、一度見聞きしたものを"数年"忘れないというもの。
「ふむ。
ミトリ少年は『物事を忘れにくい程度の能力』といったところか」
「そうですけどその言い方にはひっかかりを感じます」
版権的なひっかかりを。
「で、この文芸部員さんがどうしたんですか?」
携帯を返しながら聞いてみる。
「ミトリ少年が出てきたそこの草むらから出てきてな。
ミトリ少年が出てくる数分前だったか」
と、いうことはあの物音はその文芸部員が出したものだったのだろう。
そして、南鳥がコケている間に草むらから出たといったところだろう。
「そんなことがあったか」
その事を部長に話すとそう言って考え込んでしまった。
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