忘れた頃にやってくる。

6/21
前へ
/434ページ
次へ
「なん?チャーミー、それでいくん?」 楽屋でパイプ椅子の座面をトタトタ叩いていたヒカリが、スティックでワンピの裾をぴらりと持ち上げた。 「ちょ、バカっ。 も、さ。ステージにスカートで立つの初めてでさ。」 だから、ドキドキしてる。 合わせて履いた、少し高いヒールが心配。 「コケんなよぉ?」 やんわり笑う、ヒカリは優しい。 リハ中、サイに私が怒られている時も、真っ先にかばってくれる。 そんなサイとは、今日未だにクチをきいてないけど……。 1バンド目の音が聞こえ出すと、やっぱりテンションは必然的に上がって来て、フロアに飛び出して、とにかく身体を揺らす。 本番までフロアで過ごすのは、私とマル。 地上に向けて伸びる外階段に座って過ごすのは、サイとヒカリ。 私達の出番は3バンド目。 それぞれ、気持ちを作りながら時間を過ごす。 .
/434ページ

最初のコメントを投稿しよう!

12321人が本棚に入れています
本棚に追加