忘れた頃にやってくる。

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「何だよ、その格好。」 「……、もー、またぁ?」 ギター側のマイクチェックを始めた、ライブハウスのスタッフ、タキがこっそり早口で文句を言う。 「またって何だよ?」 「……、言われ飽きた。 さっき店長にも言われたし。」 「お前がそんなカッコするからだろー?」 「ま、そーだけどさー」 タキは私に目も向けず、立ちあがってマイクの高さを調節していて、エフェクターの配線をしてる私はしゃがみ込んでいた。 制服のOLさんが、書類を拾う感じのしゃがみ方。ちょっと斜めに腰を落とすヤツ。慣れないから[くるぶし]がぷるぷるいうよ。 「パンツ見せんなよ?出禁にすっからな。」 ステージは暗転していて、 ヒカリがセレクトしたBGMがフロアに流れてる。 もう、今、今すぐ ライブをやる人間にそんな事よく言えるな?って言葉を残して、タキはステージから飛び降りた。 .
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