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これじゃあ、手を合わせて練成の準備が出来ない……でも、錬金術なんて建前だから破壊の能力を使えば楽勝で壊せる。
「アーシ?」
拘束されて喜ぶ趣味も無いので手っ取り早く壊してしまおうと、行動を起こそうとした瞬間、ミーシャの声が聞こえた。
奥の路地から出てきたミーシャは、拘束されている俺とフードを被った奴らを見て、俺がやられていると思ったのか、瞳に涙が浮かび始めた。
「あー、ミーシャ?俺は―――」
大丈夫だから……
「めー……」
そう言おうとした。だけど、小さいながらも聞こえてきたミーシャの声に耳を傾けるために俺は言葉を止める。
「アーシ苛めちゃ駄目なのー!」
ミーシャは振り絞るような大きな声で叫んだ。
すると突如、綺麗に整備されていた地面から幹のしっかりとした大樹が生えてきた。そして、そこから幾つもの蔦が伸び、それぞれが不規則な動きをしながら男達に迫る。
「……こりゃ凄いな」
少し……というよりは、精一杯抵抗してるように見えたが、蔦は切っても燃やしても倍の数になって迫ってくる蔦についに捕まった男達は、疲れ切った様子で項垂れていた。
「ミーシャがやってくれたのか?」
男達が蔦に完璧に捕まったのを確認した俺は、手っ取り早く破壊の能力で拘束を破壊してミーシャの元に駆け寄る。
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