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「改めて、僕はニール・ガーネット。ガーネット家の長男で『WING』の左翼で、そこで寝てる奴は、ウィリアム・アイザックスで『WING』の右翼。僕のことはニール、彼のことはウィルって呼んでくれて構わないよ、先生」
悪びれも無くニールと名乗ったその少年は俺に手を差し出す。友好の証と取っても大丈夫なのだろうか?
「まぁ……宜しく。ちなみに『WING』って何だ?」
ひとまず握手をすることを選択する。
「『WING』っていうのは僕達の代名詞みたいなものかな。それと同時に僕達そのものでもある。二人の名前と名字の頭文字を組み合わせたものでもあるしね」
他にも何か意味合いがあるような言い方をしたニールは話を打ち切る様に次の話題を振って来た。
「じゃあ、僕達はそろそろ帰らせてもらうよ。人がいっぱい集まってるし、見た感じ僕達は悪者みたいだしね」
辺りを見渡したニールはやれやれといった表情と態度を取ると、寝ているウィルを魔術で浮き上がらせて潔く歩いて行った。
「……なんか、嵐のような奴らだな」
「騒がしさだけなら敵う奴らはいないだろう。それに付け加えて実質最強コンビ。権力も実力もある連中だから中々手を付けることが出来る人材がいないのだ。これだから、権力の与えすぎには注意しろと散々警告したのに、あの馬鹿貴族共は―――」
ティアがその後もあーだこーだと言っているのを聞き流しながら聞いていると、後ろから声が掛った。
「領主殿、皆が待っていますぞ」
声を掛けて来たのはカーネルさん、アリスのお父さんだ。後ろには領民になってくれた人達がぞろぞろと続いてきている。
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