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「――と、あれ?」
ティアの愚痴を聞いていたと思ったら、一瞬で領主として喋らなくてはいけなくなってしまった。
全員が静まって俺に注目している。
ヤバい、めっちゃ緊張する。人の前に出るのって緊張するんなぁ……
「コホン……えーと、この度、貴方達の領土の領主になりましたアツシ・アサクラって言います。ぶっちゃけ領主のやることとか分からないので、何かと不便な思いをさせると思いますけど、宜しくお願いします」
思いつけるだけのことを言い切り頭を下げる。
すると、何処からともなく拍手が湧き上がり、瞬く間に辺り一帯は拍手に包まれた。
「気にすることは無い。難しい部分は私も手を貸そう」
「マジですか!?じゃあ、領主の仕事宜しくお願いしますわ!俺、形だけの領主で良いんで……えー、皆さん、この度町長に就任したカーネルさんです。分からないことがあったら、率先してカーネルさんに訊ねましょう。俺もそうしようと思います」
「いや、領主殿!?」
「国とか面倒なのは俺が何とかするんで、街に関することはカーネルさんがどーにかして下さい。いやー、良かった」
「(面倒な仕事を押し付けることが出来て)……なんて言っちゃ駄目ですよ?」
「……はい。いやー、一つ肩の荷が降りて少し安心できました」
ついつい本音が出そうになったところにミカちゃんからストップが入る。ナイスフォローだった。
一通り挨拶が済むと、所々から声が上がった。
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