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「-――ッ!?」
不意に目が覚めた。空しか見えないことから、仰向けに倒れているらしい。
身体に痛みは無かった。目の前に広がるのは、曇り一つない灰色の空。
「……灰色の空?」
雲一つない空。地球の空は青かったはずだ。
「―――あぁ」
本能的に分かった。俺は死んだんだ。
そう理解した瞬間、自然と瞳が潤み、頬に涙が伝う。
「――おっ!兄ちゃん起きたぞ!」
悲しみに暮れようとすると、上空に影が出現して、そこから声が聞こえて来る。
「――あっ!生きてたんですね。まぁ、死んでるんですけどね」
そして、もう一つ影が増える。声色から判断するに、まだ幼げな感じがする。
何か下手に泣いているのが馬鹿馬鹿しくなって俺は身体を起こして状況を把握する。
俺を見下ろしていたのは二人の少女。背格好から十五歳前後だろうか?
「んで!兄ちゃんは何でこんなところにいるんだ?ここは普通の死人の魂が入って来れないはずなんだけど」
口調から判断すると、おそらくこの子が最初に話しかけて来た子だ。
ちょっと日焼けしたような黒めの肌で肩にかかるくらいの黒髪。常に元気が溢れ出しているような雰囲気。活発に動いているのが似合う、そんな美少女。服装は黒めの肌とは対照的な真っ白なワンピースを着ている。
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