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†††
誰も見ていない間に密かに崖の上に登った三人。
大した計画もあるわけでは無い。従って歩き回って探すしか無い。
そんなわけで、三人は木々の緑が所々生い茂る崖の上を探索中である。
「…見つかるわけ無いじゃない」
探し始めて数分が経過した。しかし姿が見えるどころか手がかりすら見つからない事に苛つくシャウラが愚痴をこぼし始める。
「でも、何か居たんでしょ?」
シータがシャウラに問いかける。
「居たわよ…でも見つかる見込みが無いわ」
シャウラは諦めぎみに言う。
「…でも…」
シータが何か反論しようとした所…。
轟音と共に地面が揺れた。
「―っ!な、何!?」
揺れる地面に膝を着き、慌てて辺りを見回すシャウラ。
「胸も揺れ…へびっ!?」
邪な感情満点でシータとシャウラの胸元を凝視していたガンマは、シータの笑顔から繰り出される拳に沈んだ。
「夫婦漫才してる場合じゃないわよ!」
シャウラは未だ揺れる地面に苦戦しながらも立ち上がる。
「…向こうから…」
シャウラはフラフラと頼りない足取りで、音の響いてきた方向へ向かう。
「シャウラ!待って!」
その後を頭にたんこぶの付いたガンマを引きずりながら、シータが続いた。
「…」
物言わぬ屍となったガンマはただ引きずられるだけだった。
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