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そして見たのは…黒いデブと黒ローブが戦っている場面だった。
正確には、人間の形はしているが…肌が青白く、雰囲気も明らかに人間とは違うデブと、黒いローブを纏った何か。
戦いは…黒ローブの防戦一方だ。デブが何か黒い球体を放ち、それを黒ローブが避ける。
それの繰り返しだった。
「ゲヒヒヒヒ…その程度ですかぁぁ?」
デブが馬鹿にするように言いながら、黒い球体を乱射する。
「…」
黒ローブは球体の隙間をすり抜け、一発も当たらない。
…いや、一発も当たれない。
デブが放つ直径50cmくらいの黒い球体。それは地面に着弾すると…大爆発を起こし、大地を吹き飛ばす。
とてつもない威力…一発でも当たれば致命傷だろう。
「…」
よく見れば、黒ローブは絶え間なく放たれる球体を軽く避けている。
一度も攻撃すること無く、一定の距離をとってただ避け続けている。
あたしなら、逃げるだけで精一杯だろう。
…悔しいけど、出ていったらやられる。戦いが学生レベルじゃない。
だから出ていけない―。
「…何だあれ?」
いつの間にか近くに居たのだろうか、馬鹿が声を出してしまった。
シータが急いで口を塞ぐが…。
「ゲヒッ…人間か…」
見つかった。デブがこっちを見ている。
「逃げないと…!」
「は?何が…」
あたしは呆然としている二人を掴み、自分の属性である『雷』を全身に纏う。
そして、地を蹴った。
速さだけなら雷はかなり上位の属性。普通の状態なら逃げられただろう。
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