2.ⅩⅢの魔術師

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 一般人はこれに気付かずその一生を終え、再び輪廻転生に還る。  しかし稀に自分の〝本質〟を自覚する者が現れることがある。  それが〝魔術師〟らしい。  魔術師は超越した力を得る代わりに、宗源の泉から〝本質〟の純化を強制される── 「ふうん。荒唐無稽だしよく分かんないけど、要は自分は特別だって言いたいんだ」 「おい、人の説明を一言で一蹴してんじゃねえ。てかそんな単純かつ不快な要約をするな」 「で、さっきのは何?」  わたしが身を乗り出すと、レイオットは少し引きながら説明を再開する。 「あれは妖精だ」 「妖精って、童話とかに出てくる?」 「不可解な神秘という点では似ているが、アレは全く違う存在だな」  レイオットは一旦言葉を区切ると、声のトーンを落とした。 「アレは人間以外の動物が〝本質〟を自覚した結果だ。そしてその〝本質〟は大概が〝生存〟だ」 「それとわたしを襲ったのとどういう関係があるの?」 「簡単な話だ。生きるためには何が必要だ?」
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