0.小間話

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 ところで宗像君のお粥を待つ暇潰しに一つ取るに足りない考察をしてみよう。  古今東西、人間は未知を暴くことで多くの発見を積み重ね、その知性を更新してきた。  それは紛れもなく好奇心の成した結果だろう。  しかし、しかしだ。  見方を変えると、溢れる好奇が未知を誘ったとは考えられないだろうか?  我々ではなく未知の方から近づいてきたと。  無論、その真偽を確かめる術は無いし、仮に真ならば現象たる『未知』に意思が存在することになる。  馬鹿げた話だと思うだろう?  実際馬鹿げている。  私だって夏風邪の熱に浮かされていなければ、話題にも出さない愚考だ。  けれど覚えていて欲しい。  現象に意思があるかは証明できないが、『未知』には怪談に現れる魑魅魍魎も含まれていることに。  彼らには確かな意思が存在することに。  最後にもう一度釘を刺しておこう。  過ぎた好奇心は身を滅ぼすぞ――
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