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黒に染まった群れの中に時折見えるレイオットは踊っていた。
字面通り踊っていた。
光る銃片手に舞い、立ち上る硝煙を鋭く蹴り上げ、拳で空を突く。
激しい乱舞が彼の周りに球状の空間を作り出している。
スゴい……
わたしには呆然と眺めていることしか出来なかった。
そして、その荒れ狂う嵐の中から唐突に飛び出してくるレイオットの姿が目に映った。
ん?何だ何だ?どうしたのだろ……ウッ……!
レイオットはあろうことか、トンネルの前で突っ立っていたわたしの首根っこを乱暴に掴むとそのまま元来た道を走り出す。
って何すんの! 走るの速すぎて首に食い込んでるって!
「ぐっ……いき、息がっ! 首、絞まっ、てる!」
わたしが暴れて抵抗すると、レイオットはヒョイと肩に担ぎ直した。
「何だ? あまり暴れないでもらいたいんだが」
「普通に苦しいわ! あんた、わたしを殺す気か!? ていうか、何で逃げてるの?」
「やはり数が多すぎて無理だった」
「なら最初から突っ込むな~~!」
お仕置きがどうとか、カッコつけてたクセに。
衝撃的な第一印象と不遜な振舞いで気付かなかったけど、
「なんかこの人、駄目人間っぽいなあ」
「おい、後ろに放り投げていいか?」
どうやら本音が声に出てしまっていたようだ。
こめかみに青筋を立てているレイオットを宥めながら後ろを見ると、未だに大量の怪物が追いかけてきていた。
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