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「あいつらまだついてくるよ! どうすんのよ!?」
「生身であれだけの数を一度に相手取るのは自殺行為だしな……仕方ない。〝アレ〟を使うか」
レイオットはブツブツ呟くと走る速度を上げる。
「ちょっとどこ行く気?」
「見晴らしが良くて広い場所だ。さっき通った広場なんか最適だな」
マンション群を抜けると目的の広場はすぐに見えてきた。
住宅地と河原との間に出来た広い草地だ。
昼間は子供が集まって野球をしていたりする。
と、目的地に着いて油断している所に背後から飛びかかってくる影があった。
「レイオット! 後ろ!」
「ッ!」
振り向き様にゾリッという嫌な音をさせて怪物がレイオットに爪痕を刻んだ。
「ぐっ」
レイオットの身体がグラリとよろける。
「レイオット!」
「問題ない。俺はお前の盾だからな」
そう言いながらわたしを地面に下ろすレイオットの右腕は力無く垂れ下がっていた。
コートは肩から肘まで裂けて、紅く染まっている。
「レイオット、まさか!?」
「平気だと言っている。上腕の肉を少し持っていかれただけだ」
平気なわけがない。
様子を見る限り、右腕はもう使えない筈だ。
それでもまだこの魔術師はわたしを護るなどと言い張るつもりなのだろうか。
「レイオット、どうしてそんな……」
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