5人が本棚に入れています
本棚に追加
異様な風貌の男は、特に警戒をする訳でもなく、特に目的があるでもなく、海沿いの道を歩いていた。
その背には『竜殺し』という名の肉切り包丁を背負っている。
革のバンドで縛られた包丁は包丁なのに両刃である。
(アイツはバカなのだろうか?)
(今なら周りには誰もいないですね)
(ああ、殺っちまおうZE)
その男を道沿いの林に隠れて見つめる三人の男。
一人はコンビニ、一人は本屋、一人はレコード店だった。
レコード店はリュックから一枚のレコード盤を取り出すと、フリスビーを投げるような構えを取った。
「これで終わったら…すまないNA。破ぁ!!」
林の木々の間を縫うようにレコード盤が飛んで行く。
おかしな風貌の男との距離は30mほど。
その距離をスピードを緩める様子もなく詰め寄るレコード。
(当たるっ!!)
三人はそう思った。
しかし、男の耳は風切り音を捉えていた。
最初のコメントを投稿しよう!