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音に反応した男は、あと2mというところで振り向き、咄嗟にしゃがみこんで難を逃れた。
男がかわしたレコードは横にあった標識の付いたパイプを切り裂いて海に消えた。
「くくく…この程度で俺を殺せると思ったか…(こえぇぇぇ!!レコードが鉄を切り裂くとかこえぇぇぇ!!)」
格好をつけた男が目を瞑りながら髪をかきあげていると、肩に鈍痛が走った。
「いつっ!!これは…大技○!?」
分厚いゲームの裏技とかが載ってる感じの本が肩に投げつけられていた。
思わず膝をついた男は飛んで来た方角に目をやる。
そこには林があり、木々が並び立っている。
その姿は確認出来ないが、間違いなく二人いるはずだと確信した男は林に向かって叫んだ。
「臆病は罪ではないっ!!だから、そこから動くなよ!!くくく…」
男はいやらしい笑いを浮かべながら袈裟懸けになった革のベルトを外して、剣…じゃない包丁の柄を持つと、ベルトから包丁を解き放った。
その巨大な包丁を右腕一本で持ち上げると、
「ふふふ…右腕がざわつくぜぇ…」
などと、特に異変のない右腕をさすりながら林に向かって歩きだした。
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