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「くくく…ゴレ゛が暗黒王にな゛る゛おでの力だ…(いてぇぇ!!鼻折れた!!これは折れた!!…人を…本当に人を斬ったよ…気持ち悪い…)」
鼻血で上手く話せない肉屋だったが、微かにその手と膝と口元がガクガクと震えている。
「どうなった…どうなったんだYO!?」
隠れたままのレコード屋の問いに、本屋は答えない。
溢れる涙と恐怖に耐えるので精一杯だった。
死人が出るのは覚悟していたが、目の前で起きた凄惨な出来事と、歓喜に震えるように見える肉屋の姿は想像の外の世界であった。
「chi…役に立たないYO…」
「え…?」
ヒュン ザンッ
レコード屋の一撃を本屋はギリギリでかわした。
かわしたというよりは、抜けかけた腰が完全に抜けただけかもしれない。
「ひぃ…お前何を…」
「甘い…甘いNA。どうせ最後は敵になるんだから、ここで殺すのも同じこと…」
「僕らはお互いに生き残れればいいって事でコンビニさんと組んだんじゃ…」
「AHAHAHA!!男ならビッグドリームを狙わないでどうすんだ!!…俺は次はあの肉屋と組む。感性も似てるみたいだしNA」
(あの連中…隠れてたのは二人か。どっちも遠距離タイプで相性が悪いよな…。吐き気我慢するのもキツいし逃げさせてもらうか)
二人のやり取りを尻目に、包丁をバンドで縛ると肉屋はその場を離れた。
それに気付いたレコード屋は、視線を本屋から外した。
ガサガサ…
不意に二人の上の木が揺れた。
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