5人が本棚に入れています
本棚に追加
/34ページ
同時に見上げた二人の視界に降ってきたのは、先ほどまで二人と共にいた人間だった。
「コンビニさん…?」
「なっ…あんたは死んだはずだYO!!」
「今更、その喋り方をしても遅いですよレコード屋さん」
間違いなく、あそこに転がっている二つの肉塊はコンビニのはずである。
しかし、目の前にいる男も間違いなくコンビニ…。
「忘れていませんか…私のコンビニはチェーン店だという事をね…」
レコード屋はハッと気付いた瞬間には攻撃を始めていた。
フリスビーのように溜めを作る。
そして振り抜く!!
はずの腕はリリースの途中でコンビニに止められた。
「倒された私は売上の低い私…」
「卑怯者め…!!チェーン店だからって!!」
「誤解があるようですが、私は一人ですよ?あれらは全て…いや、やめておきましょう。それと…あなたに卑怯者と呼ばれる筋合いはない」
レコード屋の腕を掴む手に力が込められ、骨が軋む。
本屋はもはや思考が追い付かずに震えるばかりだ。
「先ほどの私ならともかく…今の私を倒すにはあなたでは役不足だ。あなたの1日の売上はいくらですか?」
「なにを…!?」
「ふむ…一万数千円では?ちなみに私の売上は53万です」
「な…なん…だと?格が違い過ぎる…ギリッ」
あまりの売上の違いに恐怖するレコード屋。
それは本屋も同じであった。
大手でもない二人にとって、1日に53万は桁違いである。
「うわぁぁぁ!!」
シュシュシュシュ!!
「ぐっ!!熱っ!!」
自分を掴むコンビニの手をスクラッチの要領で擦り、摩擦熱を発生させたレコード屋は、思わずコンビニが手を離した隙に距離を置いた。
最初のコメントを投稿しよう!