『肉屋夢想』

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同時に見上げた二人の視界に降ってきたのは、先ほどまで二人と共にいた人間だった。 「コンビニさん…?」 「なっ…あんたは死んだはずだYO!!」 「今更、その喋り方をしても遅いですよレコード屋さん」 間違いなく、あそこに転がっている二つの肉塊はコンビニのはずである。 しかし、目の前にいる男も間違いなくコンビニ…。 「忘れていませんか…私のコンビニはチェーン店だという事をね…」 レコード屋はハッと気付いた瞬間には攻撃を始めていた。 フリスビーのように溜めを作る。 そして振り抜く!! はずの腕はリリースの途中でコンビニに止められた。 「倒された私は売上の低い私…」 「卑怯者め…!!チェーン店だからって!!」 「誤解があるようですが、私は一人ですよ?あれらは全て…いや、やめておきましょう。それと…あなたに卑怯者と呼ばれる筋合いはない」 レコード屋の腕を掴む手に力が込められ、骨が軋む。 本屋はもはや思考が追い付かずに震えるばかりだ。 「先ほどの私ならともかく…今の私を倒すにはあなたでは役不足だ。あなたの1日の売上はいくらですか?」 「なにを…!?」 「ふむ…一万数千円では?ちなみに私の売上は53万です」 「な…なん…だと?格が違い過ぎる…ギリッ」 あまりの売上の違いに恐怖するレコード屋。 それは本屋も同じであった。 大手でもない二人にとって、1日に53万は桁違いである。 「うわぁぁぁ!!」 シュシュシュシュ!! 「ぐっ!!熱っ!!」 自分を掴むコンビニの手をスクラッチの要領で擦り、摩擦熱を発生させたレコード屋は、思わずコンビニが手を離した隙に距離を置いた。
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