『肉屋夢想』

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(この距離ならば…いける) 最悪でも逃げる事は可能だろうと踏んだレコード屋は、レコードを構えたままで後退り始めた。 「本屋さん…本を一冊ください」 「は…はい」 本屋はガタガタと震えながら、コンビニに飛び出す絵本を渡した。 「ふむ…不思議の国のアリス。出来れば雑誌が良かったですがいいしでしょう」 中を開くとハートの女王の城が飛び出した。 「バカめっ!!去ねやぁぁ!!」 「ぬるいっ!!てりゃあ」 素早く本を閉じたコンビニは、レコードを叩き落としながらジャンプした。 高い。 それがレコード屋が思った最後の言葉であった。
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