『開幕』

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「さぁ!!我らが優良店たちの入!!場!!DEATH!!」 先頭で入ってきたのは魚屋。 ゴム長に前掛け、腰には何本かの包丁がホルダーに納められている。 スタジアムのモニターには、魚屋の顔写真と持ち物が表示されている。 基本的に持ち物はそれぞれの職種に関係ある物となっている。 次に八百屋、本屋などが続々と入場してくる。 それぞれ適当に歩き回って観客にアピールしている。 「魚屋ー!!頑張れー!!お前に賭けてんだっ!!」 「安心しろぃ!!俺が優勝だぜぃ!!」 この大会は巨大な賭場になっており、ホテルやスタジアムでは出場店に賭ける事が出来る。 魚屋、肉屋、料理屋などの刃物や金属製の道具を使う職業は本命なのだ。 逆に本屋などは大穴で、古書店などは120倍ものオッズになっている。 魚屋が周囲にアピールしていると、明らかに出場店におかしな人間を見つけた。 背中に漫画のような大剣を背負っているのだ。 なんだか服装も髪型もチャラチャラしている。 (コスプレの衣装の店か?それにしては背中の剣が本物みたいが光り方を…) 魚屋が近づくと、髪をツンツンに立てたイケメンコスプレ男が魚屋の方を見て口を開いた。 「あなたが優勝候補の魚屋さん?」 「そ、そうだけど…あんたは何屋なんだぃ?」 「肉屋です」 「…えっ?そんな革っぽい黒い服…」 「服装は自由でしょう?」 「(そりゃそうだがよぉ…)背中のは?」 「肉切り包丁です」 「え?」 「肉を捌く時に使うんです」 「じゃあ切れるのかぃ?」 「めちゃくちゃ斬れますよ。肉がめちゃくちゃ斬れます。馬とか一刀両断です」 「(なにその斬馬刀)へ、へぇ…まぁお互いに頑張ろや肉屋さん」 「そうですね。あと僕のことはこう呼んで下さい。クラウ…」 「それはアウトだ黙れ」
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