『戦いは女の仕事』

9/9
前へ
/34ページ
次へ
「ごめんなさい。野暮ってもんよね」 灰皿にタバコを押し付けるママは、また妖艶な笑みを浮かべていた。 「ママはなんで…いや、これも野暮かねぃ?」 「そうね。お互いに理由はある。それでいいじゃない」 ママの理由はわからないが、信用には価すると感じた魚屋は、今日はここで寝る事にした。 ママはドアの鍵を閉めると、奥から毛布を取り出してきて魚屋に渡した。 「中の部屋は駄目よ?」 「わわわわわかってらぃ!!」 「本当に?さっきは随分と元気で…ね?」 (バレてた…) 「ふふ…おやすみなさい」 「あ、あぁ、おやすみ…(死にたい…)」 魚屋はゆっくりと目を閉じた。 微かに残るメンソールの香りを感じながら。
/34ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加