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「ごめんなさい。野暮ってもんよね」
灰皿にタバコを押し付けるママは、また妖艶な笑みを浮かべていた。
「ママはなんで…いや、これも野暮かねぃ?」
「そうね。お互いに理由はある。それでいいじゃない」
ママの理由はわからないが、信用には価すると感じた魚屋は、今日はここで寝る事にした。
ママはドアの鍵を閉めると、奥から毛布を取り出してきて魚屋に渡した。
「中の部屋は駄目よ?」
「わわわわわかってらぃ!!」
「本当に?さっきは随分と元気で…ね?」
(バレてた…)
「ふふ…おやすみなさい」
「あ、あぁ、おやすみ…(死にたい…)」
魚屋はゆっくりと目を閉じた。
微かに残るメンソールの香りを感じながら。
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