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マッサージ師は真っ直ぐに入り口から入り、古書店に向かってゆっくりと近付いていく。
当然、古書店も気付いているが微動だにしない。
(ジジイ…余裕かよ)
「ホッホッホッ。あまり余裕はないのぅ」
(ッ!!)
その古書店の言葉にマッサージ師は歩みを止めた。
「おや?立ち止まっていいんかのぅ?」
「なに?」
マッサージ師が怪訝な顔をすると、古書店は本を持つ左手を掲げた。
その左手首には紐が結ばれている。
「チョイナァ!!」
古書店は怪鳥のような掛け声とともに左手首を思い切り引っ張った。
ズッ…
奇妙な音にマッサージ師が右を見ると、横の本棚が倒れてきていた。
咄嗟に避けようとバックステップを試みたマッサージ師だったが、先ほどまで見ていた方角から飛んで来た何かが側頭部に衝突した。
ぶつかると言うより、衝突という表現が合うほどの衝撃。
「ガッ!?しまっ…」
ドスンッ!!ザザッ……
バランスを崩して尻餅をついたマッサージの上に本棚と大量の本が降ってくる。
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