序章

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―負けた。 もう一度、振り返ってバックスクリーンをみる。 得点を確認するために。 突き付けられた現実を受け入れられない。 だって、 俺たちが、 昨年の優勝校が、 甲子園常連の強豪校が、 県内予選の初戦で、 『負けた。』 得点板は無情に、俺たちの負けを物語る。 崩れ落ちる仲間、後輩、ベンチ、スタンド。 周りの選手が、応援が泣き崩れる中、俺は泣かなかった。…いや、泣けなかった。 空は青く、どこまでも高く、とても「夏」の終わりだなんて信じられない。 俺は、そのまま無表情にバックスクリーンを見つめていた。
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