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階段を降りてすぐのリビングにはいると、味噌汁の良い匂いがした。
「あ、響介くんおはよー。夏休みなのに早いのね」
と、キッチンから顔を出して挨拶したのは、みどりさん。
「おはよーございます…」
俺が返事をすると、ニコっと笑って、またキッチンに引っ込んだ。
みどりさんは、親父の再婚予定の相手で、今、高3の俺が中2の時から同居している。
しかし、相変わらず上手く話せない。
嫌いとか、そーゆうんじゃなくて、生まれたときから母親のいなかった俺は、仮でも<母親>という存在が良くわからない。
親父とみどりさんが中々再婚しないのは、それも原因なのかも知れない。
そして、みどりさんには、2人の連れ子がいた。
それが、
「あ、きょー兄、おはよー!」
「きょーすけ、おきんのおせーよ」
小3の双子、茜と葵だ。
双子でも、姉の茜はしっかり者で、今も「きょー兄は、ラジオ体操ないからいーんだよ」と、葵を制している。
一方、弟の葵は「じゃー、きょーすけもラジオ体操出ればいーじゃん」と、反抗していた。
2人は多分、夏休み恒例のラジオ体操から帰ってきたところなんだろう。
首からかけている、学校で配られたと思われるスタンプカードが懐かしい。
俺も、そんな時期があったな、と柄にもなく感傷的になった。
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