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「……あー、なんか嫌な感じ」
昨夜はあんなに楽しかったのに、それが全部台無しにされてしまった気分だ。
それに、今日からまた勉強に部活と忙しい一週間が始まるというのに、いきなり出鼻を挫かれた感じがする。
布団の周りに散らばった下着を身に付けながら、理沙はため息をついた。
その隣では、祐平が早くも寝息を立てている。
まったく、人の気も知らないで……。
理沙はそう思いながらも、祐平の寝顔をついつい微笑ましく見つめてしまう。
小学生の頃からの親友にまで「バカップル」と揶揄されている二人だが、自分のとことん祐平に甘いところとかを考えるとそれも仕方ないかな、と理沙は思った。
ちなみに祐平のほうも、理沙にはとことん甘い。というより、弱い。
「学校、やだなあ……」
決して真面目なわけでもなければ勉強が得意なわけでもない理沙は、月曜日でなくても平日の朝はいつもそう呟いてはつかの間の現実逃避に浸る。警報出て学校休みにならないかな――とか。
しかし、そう思い通りにはならないのが世の中の常だ。
クローゼットにかけておいた自分のセーラー服を身に付け終えたときには、理沙もある程度学校に行く覚悟を決めていた。というより、意地を張るのを諦めた。
「うーん……」
着替えの際に音を立てすぎてしまったのだろうか、祐平が寝返りを打つ。
それを横目に見ながら、理沙は机の上に置きっぱなしだったペットボトル入りのコーラを飲み干した。すっかり炭酸が抜けてしまっているが、乾いた喉をその甘さが癒してくれる。
でも、最近食生活が乱れてるかもなあ……美容にも健康にもよくないし、少しくらい気をつけたほうがいいのかもしれない。
今度、希代子に相談してみるか(希代子というのは、先ほど少しだけ触れた、理沙の小学生時代からの親友の名前である)。
でも、希代子のことだから、「理沙が乱してるのは食生活じゃなくて性生活でしょ」とか言ってからかってきそうだけど……。
――と、いうようなことを考えながら、理沙は月曜の朝のひと時を過ごした。
これから自分、そして祐平を待ち受けている運命のことなど、知りもせずに……。
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