第一章 第一話

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なぜ此処に羅刹がいるのだろう とうに滅びたはずなのに 「血を…血をよこせぇぇえっ!」 殺 ら れ る 覚悟を決めたときに横からふわりと風がふいた その風を感じた次の瞬間には目の前に居たはずの羅刹は倒れていて その代わりに茶髪の男が居た 男はクルリとこちらを振り向きいてニコリと笑った まるで面白い玩具を見つけた子供の様に 私はその笑顔が恐ろしく思えた 「また目撃者?…今度こそ殺してもいいよね?」 私はゾクリと身震いがした この男はきっと躊躇いもなく私を殺すのだろう 「ダメだ。雪村の時と同じ様に屯所に連れて行くぞ」 いつの間にか私の背後に別の男が立っていた 「土方さん。この女を連れて帰っても意味は無いでしょう」 茶髪の男は私の背後に立っている男のことを「土方」と呼んだ 「総司、雪村の時の様に重要人の子供だったらどうするんだ」 茶髪の男は「総司」と言うらしい 屯所 土方 総司 ふと、そんな単語が脳裏に出てきた そしてその単語が導き出す答えは ――――新選組―――― _
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