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「あら、おかえり。今日は拓也の好きなカレーよ」
母さんがもう一度エプロンを脱ぎながら僕を迎えた。
「あの時と同じだ……!」
僕はすぐに自分の身体に目を向けると刺傷は1つも無かった。
「何おかしなこと言ってるのよ。あ、買ってきてモノ早く渡してちょーだい」
「えっ?あ、うん……」
死んだのに生き返っている。
そして時間が遡っている。
「さっき誰かここに来なかった?」
「来てないわよ。どうしたの?」
落ち着きのある口調は少なくとも母さんの記憶から大男がいなくなってるようだ。
いや、いなくなるというより『ない』のほうが正しいだろうか。
「う、ううん、なんにもないよ」
依然と変わらない家に動揺が隠せない。
母さんがエプロンを脱いでいるとインターホンの音が家中に響いた。
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