時。

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「どうしてって……。 拓也に借りてたCD返しにきたの」 夏希の小さな細い手には一枚のCDがあった。 そういえば貸してた気がする。 すっかり忘れていた。 「どうだった?」 「とっても良かったよ!なんか感動した。また貸してね!」 その気持ちは顔ですぐ読み取れた。 夏希の満面の笑みに僕もつい嬉しくなった。 「夏希ちゃん、よかったら晩御飯うちで食べていかない? 今夜はカレーよ」 母さんがいきなり夏希を晩御飯を誘った。 「えっ?……えーと、じゃあ迷惑でなければいただきます……」 夏希は赤らめた表情で言った。 僕と同じように夏希もカレーが好きなんだろうか。 「迷惑なんてそんな。 じゃあ上がって上がって」 二人は居間に入っていった。 もともと娘が欲しかった母さんは幼なじみの夏希を溺愛している。 我が子のように接する夏希は家族のような存在なんだろう。 ……下手すりゃ僕より可愛がられてるんじゃないかな? それより気になるのは大男のことだ。 変わりに夏希が家に来たけど……。 あれは夢だったのか? それにしてもリアリティのある夢である。
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