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「これスイッチかな?」
僕が見つけたのは時計の真ん中にある突起物だった。
押したらどうなるのか。さっきみたくなるのか。どうなるか分からない。
僕は鼓動を高鳴らせスイッチの方へ人差し指を伸ばす。
「拓也ー、なーにしてんの?」
それは指とスイッチの距離は一ミリとなかったと思う。
押す前に夏希が不意に僕の部屋にやってきた。
ほんとタイミングが悪い奴だ。
僕は直ぐに腕時計を枕の下に気づかれないよう置いた。
「びっくりした……。夏希ノックぐらいしろよ」
こちらは高校1年生の健全な男の子だ。
その男の部屋に入るなんて……。
「だっておばさんが拓也を連れてきて言ったから。
晩御飯食べないの?」
さっき食べなかったからきっと母に頼まれたんだろう。
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