時。

24/49
前へ
/79ページ
次へ
僕はすぐさまインターホンを押した。 「頼む……出てくれ」 手遅れなんて嫌だ。 幼なじみには無事でいてほしい。 僕がそう祈っていると声がした。 「拓也?」 それは玄関からではなく二階の窓の方からだった。 僕が見上げると夏希は首にタオルを巻いていた。 「何だ……風呂に入ってたのか……」 それもそうか。 僕だってさっきまで風呂に入ってたし夏希だって入るだろう。 行き過ぎた考えに恥ずかしくなってしまった。 「どうしたの? 電話もいっぱいしてるし……」 「あ、いや……話したいことがあって」 僕は夏希に目も向けず独り言のように言った。
/79ページ

最初のコメントを投稿しよう!

10人が本棚に入れています
本棚に追加