時。

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そして最初に沈黙を破ったのは誠だった。 「拓也お前……選ばれただろ……?」 こんなに近い距離なのに聞きづらい誠の言葉は僕には理解出来なかった。 「選ばれた?どういう意味?」 話が唐突すぎてついていけない。 誠が言ったことの主旨が僕は分からなかった。 「腕時計拾っただろ?」 「うん、腕時計は昨日の夕方ぐらいに拾ったけど……。 ……何で知ってるの?」 誠があの腕時計を知ってる? 僕は昨日一切誠とは会ってないし、それどころか連絡すらしてない。 「俺も拾ったからだよ」 「えっ誠も?!」 店内は静かな雰囲気なのに僕の大声でうるさくなった。 店員たちも僕らをちらちらと見ているようだ。
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