長距離移民船団

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「そうか?・・・・・じゃあ、先にいただくよ」 章が軍服を持って、風呂場へ向かった。 「ちょうどいいわ、嬉羅もお風呂に入れてあげて頂戴」 「ああわかった」 瓜那に頼まれ、章が腰にタオルを巻いて、ベッドまで戻り娘を抱き上げて、また風呂場へ向かった。 最初は、疲れて帰って来た夫に、子供の風呂まで頼むのは、申し訳ないと瓜那が言っていたが、『娘が大きくなるにつれ、パパにくっ付いて来る回数は、減って行くんだ』と章が瓜那を説得し、それ以来嬉羅の風呂は、主に彼が担当していたのだ。 「さて、嬉羅・・・・キレイにしようなぁ」 湯船に浸かりながら、章が優しい手つきで嬉羅にお湯をかける。 嬉羅が不快に感じたり、恐怖を感じないよう、彼なりの工夫が見られる手つきに、嬉羅は満足げな様子だった。 「こうやって、嬉しそうな顔をしてくれるのも・・・・・・・もうしばらくの期間限定なんだろうなぁ・・・・・」 章がしみじみ、呟きながら嬉羅の顔を覗き込む。 「さて、瓜那が来る前に、嬉羅の頭も洗ってしまわねば・・・・・・」 (G7レストラン) ちょうど、章が家庭で父親の勤めを果たしている頃、タケトー大将軍こと、竹はゲルダート7船団イチ押しのレストランにいた。 「遅くなってすまない」 そう言って竹が、少女の待つ窓際の席に歩み寄った。 「お疲れ様です、大将軍閣下」 立ち上がり、少女がニッコリ笑いながら、竹に敬礼した。 「まったく、勤務外ぐらい軍のことは、忘れたいのだが」 竹が笑いながらも、彼女の敬礼に答えて敬礼する。 「ごめんなさい、でもパパからは、たまにしか竹さんは仕事をしないって、聞いていたから、少しプライベートで、釣り合いを取ってあげないと・・・・」 「まったく、リオナは変な所をピニスとガイに似ちまったんだな」 竹が苦笑いしながら、上着を椅子の背もたれにかけ、ゆっくりと腰を下ろした。 「ささ、好きなものを頼みなさい、こう見えて船団長なんだ、懐と自分には余裕がある」 「はい、じゃあ遠慮なく・・・・・どれにしようかな?」
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