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ガイが娘を預けて以来、たまに夕食に連れ出した竹が、こうしてリオナの様子を見ては、ガイに報告する形になっていたのだ。
勿論、最初こそは、リオナも過保護な父親のする事だと、乗り気では無かった物の竹の経験や、話しから学べるものもあり、軍人を目指しているリオナに取って、この会食は今やなかなかの楽しみになっているのだ。
「最近、調子はどうだい?パイロットコースに、学部を変えたと聞くが・・・・・・」
「ええ、もう最高よ!・・・・・パパもママも、ここまで文句も言わないし、毎日が新鮮で・・・」
リオナがメニューを見ながら、竹に楽しそうに答える。
『やっぱりガイの娘だな・・・・・・・・・とりあえず、俺に説得は無理っぽいな』
竹が苦笑いし、顔を輝かせながらパイロットの魅力について、語り始めるリオナの顔を見る。
彼女の顔立ちは、母親に似ており、適度に引き締まった感じの体が、彼女の魅力を引き立てていた。
『しかし、ガイの奴・・・・・・よくもまぁ、手が早いと有名な独身貴族のもとに、娘を預けたものだ・・・』
そんな魅力的な、年頃の娘だからこそ、イマイチ過保護なガイが、自分のもとに娘を預けたことが、竹にとって甚だ疑問だった。
「ちょっと、竹さん聞いてる?」
「ああ、聞いてるよ」
「それでさ・・・・・・・私は、やっぱりパパと同じ、パイロットになりたいの」
「ははは」
竹が笑いながら、ワインを口に含んだ。
「わかったぞ・・・・・それで、俺にガイとピニスの説得を頼みたい訳だ」
ニヤリと笑いながら、竹がリオナに指摘した。
「まぁ、そう言うこと・・・・・・勿論、小野田さんや鈴沖さんにも、頼むつもりだけど・・・・・・」
「ほほうその年齢で、根回しを覚えてるなんざ、大したものだ・・・・・・・参謀長や内部勤務に、かなり役立てられるよ」
竹が笑いながらそう言って、リオナの脳裏に、参謀長や内部勤務のキーワードをさりげなく入れる。
ガイの娘はガイに似て、やや頑固でパイロットと決めたら、パイロットになるため真っ直ぐ、突き通すドリルのような娘だ。
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