嫉妬

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「謙也さん…」 部活の休み時間、俺は先輩に話しかけた。 「何や?」 振り返り俺に笑みを見せるアンタ。俺が口を開こうと思った瞬間… 「謙也、ちょっと来てや」 部長が先輩を呼んだ。先輩は少し悪そうに部長の側に走って行った。 ―何や、俺より部長の方が大事なんか。先に話しかけたんは俺や、何で部長のとこ行くん… 頭の中でこんな考えが渦巻いていた…しつこい程に。 楽しそうに部長と話す先輩。俺以外の奴にそないな笑顔見せんといて下さい。 ―胸の痛みは増す一方だった。 ―帰り道 「先輩、今日俺ん家寄って行きません?」 気持ちを隠そうと作り笑いをした。 「おん、ええよ。ほな、行こか」 俺達は足を進めた。 「ま、適当に座っといて下さい」 「言われんでも座るっちゅーの」 笑いながらベットに寝転がる先輩を見ては飲み物を用意しに一階に降りた。 ―あない無防備にベットに寝転がって…襲ってまうで… 心の中でそう呟いた ―ガチャ 「謙也さん飲み物用意…」 俺の視界に移ったのは気持ち良さそうに眠る先輩。 ―せやから、誘っとるんすかアンタは 小さく息を吐き、テーブルに飲み物を置き、俺は先輩の隣に座った。 ―触れたい と一瞬思った。いっその事俺のモノにしようか。 ……そないな事して謙也さんはどう思うやろ… そんな事を考えていると胸がチクリと痛んだ。 「………白石のアホ…」 ―ドクッ 心の奥底で重く感じた。 …部長の名前寝言で呼ぶ程好きなんか…? 今一番身近に居るんはこの俺や。 考えれば考える程胸が苦しくなった。
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