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鉦元アキラは同じ高校に通う隣町の同級生の家から帰るところだった。
夕食をご馳走になって、帰りが遅くなってしまい、帰りの電車を降りる頃には午後十時を回っていた。
今は駅から家までの近道である、街灯が疎らに立ち並ぶ、人気のない住宅街の脇道を通っている。
「すっかり遅くなっちゃったな」
携帯に表示されるデジタルの時計に視線をやりながら、肩まである黒髪を掻き上げる。
アキラは携帯をしまうと、しきりに辺りを見回す。
最近、学校でおかしな噂が流れている。その内容が、鬼が出たやら日本刀を持った男に追いかけられた、等という夢のような馬鹿げたものなのだ。
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