第16章 血に濡れる紅き軍馬

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「今日一日、久しぶりに唯と2人きりで過ごして改めて分かった。」 心臓の鼓動はさらにその速さを増し、 今にもはち切れそうだ。 「確かにあの馬鹿2人といる時は気を使う必要もないから、 思った事は何でも言えるし、 信頼もしてるから安心できる。 それにまあ、楽しいかな。 ・・・けどさ唯といる時は、 すごく心地好いんだ。 その心地好さに、身を任せても良いと思うほどにな。」 しばらく沈黙が流れる。 その間にも、私の体が火照ってくる。 ヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいよ!! 何がヤバいのか分からないけど、 とにかくヤバいよ!! 私の頭の中は、次に言われる言葉の事で一杯になっていた。 分かっていたけど、 いざ告白されるとなると・・・・ま、まだ心の準備が!! 時也君は、こんな私のパニクる反応を楽しむかのように、 先程から変わらない微笑みで私の事を見ている。 どうやら行ける所まで焦らすらしく、 時也君は口を開く気配が全くない。 あばばばばば、言うなら早くしてよ!! そうじゃないと何かが壊れちゃいそうだよ!! 私の頭が弾けそうになった時、 ついに時也君が運命の言葉を口にした。 「唯、オレは・・・・・・      お前が・・・べぶらふっっ!!!」 「時也君、私もだ・・・・へ? べぶらふ?」 変な声を上げ、何故か時也君は回転しながら宙を舞っていた。 そして時也君はドシャリと地面に落ちた。 「と、と、と、時也君!?」 私は地面に落ちた時也君に駆け寄る。 「フ、・・空が・・・青い・・・・・ぜ。」 時也君は右手を空に伸ばした後、 虚空を掴み、力無くその右手を下ろした。 こうして時也は、 17歳という若さで人生の幕を降ろしたのであった。 「いやいやいやいや、死んでないし!! それに今空は青くないからね!! 茜色だからね!!」 思い残す事なく逝った時也の顔に、 苦痛の色はなかった。 「だから死んでないし!!!」 というか、何が起こったの!? 狸寝入りしている時也君を揺すっていると、 後ろから誰かに腕を掴まれた。 「そこで眠ってる彼氏との時間を邪魔して悪かったな嬢ちゃん。」  
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