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後ろを振り返ると、
私の腕を掴む男をはじめとし、
どう見ても堅気には見えない人相の悪い男達が、
手に手に物騒な物を持ち、今にも襲って来そうな雰囲気を出している。
「さっきウチの若い者がその餓鬼に世話になったらしくてのぅ、
その礼に来たんじゃ。」
よく見ると、昼間時也君にやられた男達がいた。
その男達は、恨めしげに私の腕の中にいる時也君を睨んでいる。
「大人しくその餓鬼を渡してくれんか?
そうすればアンタに危害は加えんから。」
口ではそう言っているが、
男にその気はないのだろう。
私を見る男の目は、好色そうな輝きを放っている。
それにその男の後ろにいる男達は、
この後私をどうするかという変態的な話で盛り上がっている。
ハァ、どうしてこうなるのかな。
時也君という難攻不落のルートを選んでから、
今まで色々と発展させようと努力してきた。
それで今日、ようやくあの言葉を聞けると思ってたのに・・・・・
この時男達は気づいていなかった。
唯の体から、空に昇る龍の如く闘気が立ち上っている事に。
「ん、何のつもり・・・・」
その瞬間、唯の腕を掴む男の見る世界が反転した。
唯が男の腕と服を掴み、
そのまま背負って地面に叩きつけたのだ。
そう、所謂背負い投げだ。
それも、もしこれが柔道の試合であったら、
完璧な一本となっていたであろう程見事なものだった。
「ぐえっ!!」
余りに突然な不意打ちだったので、
男は全く受け身が取れず衝撃をモロに受け、
蛙が潰れたような声を出す。
「・・・・・」
しかし唯の攻撃はまだ終わらない。
その細い腕のどこにそんな力があるのか、
唯は地面に叩きつけた男の足を掴み、
軽々と振り回し、今度は頭から地面に叩きつけた。
唯は終始無言で男の頭を何度も地面に叩きつけ、
最後はジャイアントスイングでぶん投げた。
その作業を終えた唯は、
パンパンと手を払い、若干血の気が引いている男達に向き直る。
刹那、この空間に殺気が充満し、
大気が怒りに呼応するように震える。
言うまでもなく、それは唯によるものだ。
それにより、男達は蛇に睨まれた蛙のように金縛りに陥る。
「・・せ・・・えせ・・・私の期待と、乙女のハートを返せ!!!!」
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