プロローグ

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  「なあ、オイ」 「………」 「無視すんなよー」 「………」 「あーやー」 話し掛けてきても無視をした。 もう、いちいち話し掛けてくんな。 「アレ、森谷さん?」 そんな中、水野とは違う声が耳に入った。 「(誰…、)」 ドキン。急に胸が跳びはねた。 「もしかして森谷さん、“7”?」 「あ、うん。そうだよ」 「じゃ、隣だ」 「(え…、)」 ニコッと、彼は優しくアタシに微笑んだ。 嘘…。左隣、新くん? 「なあ、」 「ん? なに」 「なんで、アイツとは喋るのにオレには無視するわけ?」 「…………」 「絢!」 「もう! 今から考え事するから、ちょっと黙ってて」 「はあ!??」 新くんとは、高田新くんのこと。 アタシが片思いしている人だ。 同じクラスになれたのが奇跡だったのに、隣の席にもなれるなんて。 そんなの、許されるの? あー…もう。 心臓黙って、うるさいよ。 新くんに聞こえちゃうじゃん。  
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