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「頼みたいこと…とは?」
ルカリオは問う。
「…計画を実行したあとのことだ。」
「……?」
この時点で、誰もが疑問に思うだろう。
確実に、上手くいくように計画されているのだから。
しかしルカリオは、とりあえずアイクの話を聞くことにした。
「お前には、計画を実行したら倉庫まで来てほしい。」
「…何故だ?」
流石に、黙って聞いていることはできなかった。
計画に、必要な“道具”はなかったはずなのだから。
「…万が一のことを考えた末だ。…意味、わかるか?」
ルカリオは一瞬首をかしげたが、すぐに想像ついた。
「…日没までの誤差を考えた上…だろう?」
「その通りだ。」
いくら計画が上手くいこうと、時間や星を思い通りに動かすことはできない。
その“もしも”の時のために、計画を作ろうというのだ。
「だが、何故倉庫なんだ?」
「…もしもの時に備えた装置がある。もしそれを俺が取りに来たとき、あとから契約の間に行ってくれ。」
「…承知した。日没までに来なかったら、その場にいなくてもいいんだな?」
「そうだ。でも、その時はある奴と合流してほしい。」
「…“奴”?」
ここまでで、装置など、謎のものが出てきたが、それはまた別の話である。あえて、ルカリオは触れなかったが。
「ああ。そいつにはまだ何も話してはいないが、明日でもどうにかなる。ルカリオはそいつと合流して、俺が倉庫にくれば契約の間の中で援護してもらう。」
「…来なければ、中止を伝える…だろう?」
「流石だな。話が早くてすむ。」
ルカリオは、自分に任せられた理由がわかった気がした。
おそらく勘では、ネス達には勿論、誰にもこの話を知らせていない。
いろいろとあるのだろうが、一つの計画に集中してほしいのもあるかもしれない。
そして、最悪──
マスターの足止めにも買って出る気でいるのだろう。
守るべきもののために戦う、そんな彼だからこその考えだろう。
──それも、あえてルカリオは言わなかった。
「話はそんなところだ。悪かったな」
「別に構わない。」
今まではりつめていた雰囲気が、少しだけ変わった気がした。
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