第1章、豚小屋生活

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豚小屋生活1日目 ……朝。 いつもなら陽の光と、おいしそうな朝マッグの焼ける匂いで目が覚めるのだが… 今日は違う。 「なんだ、この生ゴミのような臭いは」 それは私の体が腐敗し始めた臭いだった… 改めて、現実を思い知らされる。昨日の出来事は夢ではなかった。 この現実と戦わなければならないのだが、留置場には窓も空調もなく、朝から29℃を示している。私のようなナマ魚が生きていられる環境ではなかった。 「もう、ここで生涯を終えるのか…」 絶望し、覚悟を決めた。その時 「早上好」 聞き馴染みのないランゲージが私の耳に飛び込んできた。 ふりかえると、部屋の前に小柄な看守が立っている。 そう、ここの看守は中国人なのだ 「插入拿来」 何を言っているのかサッパリわからない。 大きな箱を持っている。 どうやら、差し入れを持ってきてくれたらしい。 中国人から箱を受け取り、中を開けてみると… 「これは…」 中には大量の防腐剤とドライアイスが入っていた。 防腐剤は肌荒れしてしまうから置といて、 ドライアイスは助かる。 これで腐敗が抑えられる。 看守とコミュニケーションがとれないので、誰が届け主かわからないが、たぶん、事情を察した親が送ってくれたのだろう。 「しぇいしぇい」 私も、にわか中国語を使って気持ちを表してみた。 中国人は舌打ちをした…。 ふと目をやると、中国人の首に名札がぶらさがっている。 李看守 りー・かんしゅ この人、看守って名前? …くだらねぇ。 つづける…
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