3人が本棚に入れています
本棚に追加
豚小屋生活7日目
看守によって無惨に切り刻まれた赤身の修復作業に時間を費やし、昨日は日記を更新することができなかった。
そんな今日、信じられない事が起きた。
「ドンドン」
大量にある差し入れを、蓮舫議員ばりの勇壮な態度で仕分けしていた私。
その背後で、いつものように扉を叩く音が響いた。
今日はどっちの看守だ?
「ガチャ」
扉を開くと見知らぬオッサンが立っている。
「本日をもって、マグロナルドの保釈を命ずる」
私は耳を疑った。
私は釈放されるらしい。
だが、実感が湧かない。
「保釈金はどうしたのだろう?」
そこが気掛かりだったからだ。
どうやら、保釈は両親が請求したらしい。
しかしながら、私の店の稼ぎ、年金生活の親の貯えを考え、保釈金は出ないものと考えてきた。
もし、保釈金を払うのであれば、即刻、店をつぶさなければならなくなるだろう。
そうすると、従業員の再就職先を保証することとなる。
地道に各企業を回って頭を下げていけば、長い時間がかかっても、実現できなくはない。
愛着のある店をつぶすのは未練がある。
だが、回り道してもいいから、ゼロからスタートしなさいということなのだろう。
私の親も、我が子を救うために大胆な行動をとったものだ…。
ちょうど正午。
私は釈放された。
最初のコメントを投稿しよう!