第1章、豚小屋生活

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豚小屋生活7日目 看守によって無惨に切り刻まれた赤身の修復作業に時間を費やし、昨日は日記を更新することができなかった。 そんな今日、信じられない事が起きた。 「ドンドン」 大量にある差し入れを、蓮舫議員ばりの勇壮な態度で仕分けしていた私。 その背後で、いつものように扉を叩く音が響いた。 今日はどっちの看守だ? 「ガチャ」 扉を開くと見知らぬオッサンが立っている。 「本日をもって、マグロナルドの保釈を命ずる」 私は耳を疑った。 私は釈放されるらしい。 だが、実感が湧かない。 「保釈金はどうしたのだろう?」 そこが気掛かりだったからだ。 どうやら、保釈は両親が請求したらしい。 しかしながら、私の店の稼ぎ、年金生活の親の貯えを考え、保釈金は出ないものと考えてきた。 もし、保釈金を払うのであれば、即刻、店をつぶさなければならなくなるだろう。 そうすると、従業員の再就職先を保証することとなる。 地道に各企業を回って頭を下げていけば、長い時間がかかっても、実現できなくはない。 愛着のある店をつぶすのは未練がある。 だが、回り道してもいいから、ゼロからスタートしなさいということなのだろう。 私の親も、我が子を救うために大胆な行動をとったものだ…。 ちょうど正午。 私は釈放された。
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