決着

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蛮勇という言葉があるなら、それは彼らに当てはまるかもしれない。 三人は背中を合わせに陣形を組み周囲に蠢く群集を見据え牽制する。 すでに一人は死に体。 肌は漆黒にコゲ、擦り傷が至る所にある。 特に腹が酷い。拳だいの穴が三ヶ所穿っていた。 徐々に回復するが、敵の攻撃は腹に集中し意味をなさない。 「気合い入れろ!!あと数分死ぬ気で逝け」 「ほら、アンタしっかり。これ飲めば少しはマシになるから」 雪月はゲヒた笑いを浮かべ舌舐めずりをする、男数人の隙をつき嶺人に薬品を放る。 飛んできた薬品を飲み、いつもの癖で嶺人は一つの行動を行ってしまった。 Dのラベルをついた空の容器を勢いよく前方に掲げ、 「ファイト!! いっゴフっ!?」 おもっいっきり血を吐き、嶺人は突っ伏した。 ツッコミ失敗。 「嶺人!?」 「実験狂!! 余所見するな、……っうお」 「えっ……キャア。やだ、そんなとこ触らないで」 「やめっ」 触じゃねぇ!! といいかけて、嶺人はまた大量に血を吐いた。 更に追撃を加える。 「あの時はよくも……」 「これは佐藤くんの分、そしてこれが私の分よ」 それぞれがいままでの怨みを晴らし、嶺人を血祭りにあげる。しかし、嶺人も被害者の一人であって問題は、他の∞メンバーが引き起こしたもの。 つまり、ただの八つ当たりによる復讐がこのイベントの真髄だった。 生徒に紛れて教師がいるのは見なかったことに……いや、忘れてください。
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