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リリスは眼下の状況に余裕のないことを見とった。刀を抜き、重力制御を最低限にし、降下する。
―――大気中に等しく存在する風の精よ。
汝、我契約に従うのならば力を貸せ―――、
――束ね集え深緑なる刃よ、我剣と成せ……その刃森羅万象において絶てぬものなし――、
―依り代はここに―
天に向け胸元で構える刀の、刃元から刃先にかけ翡翠色の光が宿る。
詠唱終え、着地。砂ぼこりが舞い、金の髪が踊った。
リリスの口から真名が告げ、刀が振るわれた。
『風の御劔(みつるぎ)』
翡翠色の閃光が飛び、閃光に飲まれた群集が空へと跳び、舞った。
それはボウリングのような光景だった。
未来が刀を振るえば、群集が空に舞う。
正確無比なストライクが連発した。
3回目のストライクが上がる頃、遠距離の大地が轟音と共にめくり上がった。
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