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――…気付けばさらさらと水の音。
ふと視線を横に向けると河川敷まで来ていた。
いつもは通り過ぎる河川敷。
ここは昔ルイと一緒に遊んだ場所の一つで、今では唯一あの頃と何ら変わらない場所だった。
あの頃遊んだ公園や空き地なんかは数年前にすでに取り壊され、今では立派なビルが立ち並んでいる。
だからこの河川敷だけが思い出を残していて大切であり、また唯一私を苦しめる場所だった。
いつしか私はここに寄り付かなくなり、今では全然…。
だからこそ今日は何故か寄り道したくなって。
久しぶりに土手へ下り、大して重くもない鞄を肩から外してそっと草原に寝転んだ。
――…少し、夢の余韻に浸りたくて。
ゆっくりと目を閉じ、昔のことを思い出し始めた。
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