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そんなことが色々あって僕はファンレターを貰う様になり、そのファンレターの数はもはや山のようになっていた
「遥先生いつも応援してますっ!!」
「遥先生の一つ一つの言葉が私の胸を暖かくしてくれます」
「新しい作品を楽しみにしています!!」
そんな優しい言葉を貰いながら僕は今も執筆を続けている
だけど一度たりとも僕は美沢遥の正体は僕であることを公開していない
なのに先輩は僕のもう一つの顔を……
美沢遥の正体を知っている
なんで!?
「あ、あの先輩……」
僕は恐る恐る先輩の顔色を伺う
「私もずっとずっと貴方の……、美沢遥先生の本をずっと読んでたのよ」
先輩はいつから持っていたのか僕のベストセラー作である『貴方はそこに居ますか』を僕の目に映るくらいの高さに持って来て満面の笑顔を浮かべていた
「先輩、なんで僕が美沢遥だと知ってるんですか?」
僕は先輩の笑顔に見惚れる事もなく僕の疑問をぶつける
「えっ?だって遥先生の担当は私の姉さんよ?」
「へ?」
姫澤先輩のお姉さんが僕の……
美沢遥の担当さん?
いや、でも僕の担当者は稲垣ミキ(イナガキミキ)さんだ
先輩の苗字とは明らかに……
「あっ、姉さんは結婚してるから私とは姓が違うの
姉さんの旧姓は姫澤ミキって言うのよ」
先輩は僕の顔色から心情を読み取ったのか、僕の疑問に丁寧に答えてくれた
それでもまだ疑問が残る
僕に再三美沢遥の正体を明かすことを禁じていたミキさんが何故?
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