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「これが春斗君の……美沢遥先生の書斎なんだ……」
先輩がどんな事を感じながらそう呟いたのかは定かではない
悪印象を与えたのか、それとも良い印象を与えられたのか……
気にはなるけれど今はその話をするべきではない
したところで直ぐに変わるものではないからだ
ただ、昨日掃除をしておいて良かったと心の底から思ったのは僕の正直な考えだった
昨日ちょうど一作品書き終えたところでふと思い立って掃除をしたばかりだった
ミキさんとの最後の作品
『さよなら』
今回はミキさんが大本を考えて書いた
つまりはミキさんのリクエスト作品だ
(あれ?)
僕は『さよなら』の事を考えたらある事柄に気が付いた
確かあの物語は同じ職場に働く二人が離れ離れになっていく話だったはず……
でも最後にはまた再会して今度はそのヒロインの妹と一緒に三人で職務に取り組んでまた笑い合えるようになるって構成だった
(そっか……)
あの『さよなら』は僕と先輩に向けての物語だったんだ……
今はバラバラになるけど今度は三人一緒に仕事しようというメッセージが込められていたんだ……
(ミキさんらしくないな……)
いつものミキさんならこんなメッセージじゃなくて、またねって言えるようなメッセージを残していた筈だ
「ふふっ……」
思わず笑ってしまった
メッセージとしてはミキさんらしくない……
でもこういう分かりにくい遠回しはミキさんらしい
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