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「あ、ありがとう……」
そんな気まずい雰囲気を壊してくれたのは先輩だった
「い、いえ……、本当のことですから……」
僕はしっかりと再確認をした
やっぱり、僕はこの先輩が……
姫澤先輩が好きなんだなぁ~
そう考えてしまったら、段々と自分がコントロール出来なくなってきた
僕の中に有る想いがいきなり溢れ出す
「せ、先輩は彼氏さんとかいるんですか……?」
普段の僕だったら絶対に聞かない言葉が僕の口から漏れ出す
「えっ!?あ、あはは……。
私は付き合う所か告白さえされたことないよ」
それは多分先輩と隣り合う自信が皆ないからだと思います
「私、可愛くないから……」
先輩から僕にとって有り得ない言葉が僕の頭を熱くする
「そんな訳ないじゃないですかっ!!」
僕からは信じられない程大きな声が上がる
「先輩が可愛くなかったら誰が可愛いって言うんですか!!」
僕は先輩に向かって……
憧れている先輩に向かって怒鳴り散らしている
おかしい、こんなこと言いたい訳じゃないのに僕の言葉は決壊したダムの水の様にとめどなく溢れ出す
「先輩は僕の憧れなんです!
僕知ってます!
いつもは厳しい顔をしてるけど、本当は誰よりも優しいんだって……」
僕は入学してから何ヶ月か経って見た先輩を思い出していた
木登りが得意な訳じゃなさそうなのに、木から落ちそうな鳥の巣を元に戻していた先輩を……
朝、誰よりも早く学校に行って学園の花壇の紫陽花やチューリップと言った花に水をあげる先輩の姿を……
そんな健気な先輩を思い出して僕の想いは加速する
「僕は誰よりも優しい先輩が大好きなんです!!」
「馬鹿っ!」
先輩は顔を真っ赤にして、僕の口元を手で覆った
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