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「おっ!俺はなぁ!この高校に合格できた事で喜んでるんだっ!家族と、はぐれたからじゃねぇっ!」
男の子の甲高い声を聞いて、その女性は不意に、体を震わせ出した。
その目も、長い髪に隠れて、はっきりとは見えないが、心なしか潤んでいる様子で……
男の子は少し、言い過ぎたかと心配になった。
「か……」
「か……?」
オウム返しに聞き返した男の子が、ふわりと中に浮いた。
正確には、その声の主に、抱きかかえられていたのだ。
「可愛いぃぃ~っ♪」
「うわっ!や、やめろっ!放しやがれっ!ちょ、ほ、ほお擦りすんな!」
その後、抱きしめながらほお擦りをする、周囲よりも、頭一つぐらい高い女の子と、それを嫌がり、ジタバタともがく男の子の姿を……
周りにいる学生や、その家族は、ただ、ほほえましく見つめていた。
「ちょ、だ、誰か、見てないで助けろぉっ!」
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