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屋上の手前の扉の前で、俺は如何しようかと思案する。
ここは、負けておいたほうが良いのか、相手を伸して3-Dの頭に君臨するか…
だって俺、格闘技習ってんだもの…普通の奴が俺に叶う訳ないんだよなぁ…
そんな事考えながら、扉の向こうを覗き込む。
すると、小動物のようなちっこくて可愛らしい奴が、こっちに走り込んできた。
あまりにも勢いが良すぎて、俺が扉のドアノブを掴んでいたから、そいつが階段から転げ落ちそうになる。
慌てて手を伸ばして、抱き止めた。
「わぁ!」
そいつは驚いて、俺に抱きつく格好になる。
くりんとしたお目目を、ぱちくりと瞬かせて、俺は思わず、
「可愛い!!」
と抱き締めると、そいつは慌てて俺の腕の中で暴れ出した。
「わぁわぁ!なにすんだ!!」
「えっ?落ちそうだったから…」
「…てか、離せ」
「うん?良いけど…」
そう言って、俺はそのちっこいのを離してやると、俺の事、睨みつけながら、
「逃げずに来たんだ」
そう言って凄んで見せた。
“ははは…凄んでるみたいだけど、俺からしたら、可愛いの一言だな…”そんな事を思いながら見てる。
「てか、何時まで、ここにいるんだ!」
「えっ、あぁ…行こうか(笑)」
ちっこい奴の背中を押しながら、屋上の扉を開けた。
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