42人が本棚に入れています
本棚に追加
屋上に上がると、ちっこいのが慌てて、あいつ等の方に駆けていった。
俺は、それを見送ると、ゆっくり徒歩を進めて、矢吹隼人の前で、足を止める。
「逃げずに来たな!」
「逃げる訳ないじゃん!隼人君にデートに誘われて」
「はぁ?」
「で、俺としては、川原での散歩の方が、嬉しいんだけど?!」
「な、何言ってんだ!」
そう言って、隼人君が臨戦態勢を取る。
「う~ん?怪我させたくないんだよねぇ…」
「てめぇー逃げんのか!」
「…わかった…」
そう言って、俺も構えると、隼人君が突っ込んできた。
最初に拳を振り上げてきたのを、身体を捻って避けると、隼人君がバランスを崩して、倒れそうに為る。
俺は慌てて、隼人君の腕を取り、自分に引き付ける。
そして其の侭抱き締めた。
「な、何してんだ!」
俺の腕の中で暴れている、隼人君の耳に息を吹きかけて、
「ウ~ン、抱き心地は良いねぇ」
一瞬隼人君の膝が、ガックと落ちたが、直ぐに足に力を入れて、俺から離れる。
真っ赤な顔の隼人君に、俺は気を良くして、俺のほうから近付いて行く。
「てめぇー、な、何考えてんだ‼」
隼人は、真っ赤な顔で俺を睨んでいた。
う~ん…良い目してる。
俺はニッコリ微笑んだ。
最初のコメントを投稿しよう!