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理容室の前には土手が広がっていて 淀んだ川の先には公害を抽象としているような直線で描かれたような工場が立ち並ぶ。
煙が空の雲とシンクロする。
その人工的な雲の上には あたしが好きな 群青色の空が流れている。
やっとあたしは この空が見れた。
あたしは この空が見たかったんだ。
青い空いっぱいに手を掲げて あたしは大きく深呼吸をした。
ふうと言う息とともに なんともいえない 透明な気があたしの中に入ってきた。
バッテリーの交換をされた携帯の気持ちが分かる気がした。
靴をキュッキュッと鳴らし あたしは 走った。
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